世間種々の法、すべてみな幻のごとし、もしよくかくのごとく知らば、その心動くことなし。
愛憎に随って浮沈し、貴賎に任せて軽重す。
得がたくして移りやすきは、それ人身なり。発しがたくして忘れやすきは、これ善心なり。
道心の中に衣食あり。衣食の中に道心なし。
また菩薩の身肉手足及び妻子を施して、無上道を求むるを見る。また菩薩の頭目身体を欣楽施与して、仏の智慧を求むるを見る。
風色見難しと雖も、葉を見て方を得ん。心色見えずと雖も、しかも情を見れば知り易し。
第一に、自己こそを適切なところで確たるものとするように。然して、他者を教示するように。賢者は、汚されないもの。
我れ生まれてより以来、口に麁言なく、手に笞罰せず。今より我が同法よ、童子を打たずんば、我がための大恩なり。努めよ、努めよ。
我れ未だ六根相似の位を得ざるより以還出假せじ。
人の悪きことはよくよく見ゆるなり。我が身の悪きことは覚えざるものなり。我が身に知られて悪きことあらば、よくよく悪ければこそ身にしられ候と思いて心中をあらたむべし。
悪事は己に向かえ、好事は他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり。
悪口を以て僧を呵責し、毀呰することなかれ。悪人不当なりと云うとも、左右なく悪くみ毀ることなかれ。
心暗きときは、即ち遇う所、悉く禍なり。眼明らかなるときは、則ち途に触れて皆宝なり。
国宝とは何物ぞ、宝とは道心なり。道心ある人を名づけて国宝となす。故に古人の言わく、径寸十枚これ国宝にあらず。一隅を照らすこれ則ち国宝なりと。
人の生を受くるは難く、死すべき者の生命あるも有難し。正法を耳にするは難く、諸佛の出現も有難し。
萎れたる花びらを捨て落とすバツシカ花の如く、比丘たちよ、かくの如く貪りと怒りとを振り捨てよ。
解脱の味独り飲まず、安楽の果独り証せず。法界の衆生と同じく妙覚に登り、法界の衆生と同じく妙味を服せん。
一切法を観察するに。悉く因縁より起こる。生なきが故に滅無し。
一切の悪をなさず、善を成就す。これは、覚者たちの教えである。
眠りえぬものに夜は長く、疲れたる者に五里の路はながし。正法を知ることのなき愚かなる者に、生死の輪廻は長し。
如来は但一仏乗を以っての故に、衆生の為に法を説きたもう。余乗の若しは二、若しは三有ること無し。
智、如来に等しくして、他の徳を平すべし。
生ぜしもひとりなり、死するも独りなり。されば人と共に住するも独りなり、そいはつべき人なき故なり。
日日是好日