一切の有情(うじょう)はみなもて世世生生(せぜしょうじょう)の父母兄弟なり、いずれもいずれも順次生に仏となりてたすけ候うべきなり。
親鸞聖人(浄土真宗開祖。1173-1263/唯円撰)
一切の生きとし生けるものはすべて、いくたびも生まれ変わり、死に変わりする間に、お互いに父母となり兄弟となった間柄である。だからすべての人間が父母であり、兄弟であると思うべきである。その誰も彼も次の世において浄土往生し、直ちに仏となって救われる。今を生きる自分の存在は実は深いところで人以外の存在も含めたあらゆる生命との関わりあい、支え合っているのである。
『歎異抄』
親鸞聖人の死後教団内に湧き上がった異義異端を嘆くために編まれた文章である。この短い文は、真名序、1から10条までの親鸞聖人の言葉、10から18条までの唯円の異義批判、後序という構成からなっている。
すべての生きとし生けるものは、長い時を経て互いに深い関わりを持ちながら、この世に存在しています。それぞれの生命は、以前の生においてあなたが父であったり母であったり、また兄弟であったりしたかもしれません。この考え方に立つと、我々はただ孤立した存在ではなく、かけがえのない絆で結ばれていることがわかります。
この世に生を受けた者同士は、互いに支え合い、助け合う運命にあります。私たちが今、この地上で出会う者たちを、ただの他者として扱うのではなく、心の底から家族のように大切に思う心を育むことが求められます。周囲の生命が互いに助け合うことで、すべての者が次の世での平穏と安楽を得られるのです。
このような気持ちを胸に抱きながら、日々の暮らしを見つめることこそ、真の教えを体現することになるのです。私たちは一度生まれた者として、互いの助けがあるからこそ生きていられることを認識し、感謝する心を持ち続けることが大切です。また、これからの未来で、全ての者が仏の道を歩み、真の救いを得ることができるように努めたいものです。
この教えは、親鸞聖人の時代においても重んじられ、多くの人々に深い心の触れ合いをもたらしてきました。今私たちが生きる中で、過去の教えを心に留め、周囲との関わりを大切にすることで、より良い世界を築いていく手助けとなることでしょう。真の意味で生きているという感覚を共有することが、未来の仏教徒としての道を照らす光となります。
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