道は人によって弘まり、人は道によって弘む。
伝教大師最澄(天台宗宗祖。767-822/別当大師光定撰)
波羅蜜の船を以て、生死の流の中に於て、生死を厭はず、涅槃を取らず、中流に住せずして、衆生を度して、彼岸に達せしめて休息あることなし。
鉄から生じた垢が、それから生じて、まさしくそれを喰い尽くすが如く、自らの諸々の業が罪を犯した者を悪趣へと導く。
一人は一切人なり、一切人は一人なり。一行は一切行なり、一切行は一行なり。十界一念、融通念仏、億百万遍、功徳円満。
良忍上人(融通念仏宗開祖。1072~1132)
菩薩の律儀には都べて自利なし。利他を以って則ち自利となすが故なり。
伝教大師最澄(天台宗宗祖。767-822)
怨みは怨みをもって静まらず、怨みなきをもってのみ、怨み静まる。これ永遠の法なり。
明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは
親鸞聖人(浄土真宗開祖。1173-1263/覚如上人撰)
布施というは不貪なり。不貪というは貪らざるなり。
道元禅師(曹洞宗開祖。1200-1253)
しるべし、愛語は愛心よりおこる。愛心は慈心を種子とせり。
諸有の善根は慈を根本と為す。
愛見の巧言は、なお仁鮮し。
因なくして果を得るはこの処りあることなく、善なくして苦を免るるはこの処りあることなし。
己こそ己の寄辺、己を措きて誰に寄辺ぞ。よく整へし己にこそ、誠に得難き寄辺をぞ獲ん。
善因より善果を生ずることを知り、悪因より悪果を生ずることを知りて悪因を遠離せよ。
怨みをもって怨みに報ぜば怨み止まず、徳をもって怨みに報ぜば 怨みたちまち尽く。長夜の夢裏のことを恨む莫れ。法性真如の境を信ず可し。
三際の中間に修する所の功徳は、独り己が身に受けず、普く有識に回施して、悉く皆無上菩提を得しめん。
千里の道も謂いて遥と為さず、数歩の地も謂いて近と為さず。凡そ所作あれば、その功は唐しからず、その報を望まず。
天台大師(中国天台宗開祖。538-597)
或は火のごとく信ずる人もあり。或は水のごとく信ずる人もあり。
日蓮上人(日蓮宗宗祖。1222-1282)
若し俗間の経書、治世の語言、資生の業等を説かんも、皆、正法に順ぜん。
曲直用に中って損することなく、賢愚器に随って績有り。
弘法大師空海(真言宗開祖。774-835/真済撰)
忍辱の衣厚くして、杖木瓦石に痛まず、慈悲の室深くして、罵詈誹謗を聞かず。
空也上人(903-972)
若しは曠野の中に於いて、土を積んで仏廟を成し、乃至童子の戯れに 沙を聚めて仏塔をつくれる。かくの如き諸々の人たちは、皆すでに仏道を成ず。
一色一香も中道にあらざることなし。
迷えば石木異なれど、悟れば氷水一つなり。
元三慈恵大師良源(912-985)