よき人生は日々の丹誠にある

松原泰道(龍源寺元住職)

原文

よき人生は日々の丹誠にある

妙機禅師

「よき人生は日々の丹誠にある」という言葉は、仏教の奥深い教えを端的に示しています。人生は一つの長い旅路であり、その旅路の中には多くの試練や喜びが交錯します。一日の充実は、一つの山を登り切るような努力と忍耐を要します。その中で、我々が心掛けるべきは「丹誠」という言葉に込められた心の持ちようです。

丹誠とは、努力を惜しまず、一心に物事に取り組む姿勢を指します。仏教では、煩悩から解放されるための修行においても、心静かに、かつ誠実に日々の行いを大切にすることが重視されます。これは、布施や戒、精進などの仏道実践の基本とも言えます。日常生活においても、学びや仕事、人間関係においても同様の心掛けが求められるのです。

例えば、朝の一瞬一瞬を大切にすること。身を清め、心を静めることで、新たな一日のスタートを切ることができます。その際には、しっかりとした呼吸法による瞑想や、日々の勤行を行うことが、心の調和をもたらします。また、他者への感謝の気持ちを忘れず、優しさや思いやりを持って接することが、豊かな人間関係を築く基盤となります。

さらに、仕事や学びにおいても、ただ結果を追い求めるのではなく、過程を大切にし、心を込めて正直に取り組むことが大切です。忍耐強く、小さな目標を積み重ねることで、大きな成果が得られるのです。これは仏教で言う「積慧」とも通じる教えです。

日々の丹誠をもって生きることは、自己満足のためだけでなく、他者とのつながりや、より広い社会への貢献をも意識することです。それによって、自身の内なる調和と外界との調和が生まれ、「よき人生」が実現されるのです。この言葉が指し示す道を、一歩一歩、日々の中で歩んでいくことが、私たちの真の幸福への鍵となるのです。

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