長者の万灯より貪者の一灯

原文

長者の万灯より貪者の一灯

解説

物の多少より真心の有無を高く評価する喩え、たとえわずかなものでも心のこもった物のほうが、量や金目のある物より尊い。

妙機禅師

かつて、ある国に高名な長者がいました。彼は多くの財産を持ち、常にその富を善行に費やしていました。彼の寄付は壮大で、多くの人々がその恩恵を受けました。特に、夜の暗闇を照らすために、多数の灯りを寄贈したことで知られていました。彼の行為は広く称賛され、多くの人々に感謝されました。

一方、その国の片隅に、貧しき一人の男がいました。彼はとても貧しく、自分の食べるものさえ不足していました。ある日、その男は心から仏に感謝を捧げるために、一つの小さな灯を仏前に捧げました。彼の灯は小さくて、長者の灯りの中に混じって見えなくなるようなものかもしれません。しかし、その小さな灯には彼の全ての心が込められていました。

天界の神々や仏たちは、人々の行為を見守っています。彼らは、物質的な豊かさや数量だけで判断しません。そのため、長者の多くの灯りも、貧しき男の一灯も、平等に観察されるのです。彼らは心の純粋さや誠意を見ており、真実の慈悲や感謝の心を評価します。

この教えは、私たちに何を示しているのでしょうか。それは、人の行為の価値を物質的なものではなく、その背後にある心の在り方で見ることの大切さを説いています。無数の灯りが光り輝いていても、一つの輝く心がそれに劣らぬ光を放つことがあります。実際、その心が込められた一灯は、時に多くの灯りを凌ぐ価値を持つのです。

ですから、私たちもまた、何かを施すときには、その量や規模に囚われず、心からの感謝や慈悲をもって行動することが重要です。真実の心をもって行う行為こそが、最も尊いものであり、それが他者への真の贈り物となるのです。心の灯を絶やさずに、日々の生活に光をもたらしていきましょう。

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