心頭を滅却すれば火もまた涼し
心頭を滅却すれば火もまた涼し
精神のもち方一つで、苦しみ痛みもそうでなくなるとの戒め。信長に火を放たれた恵林寺(武田家菩提寺)快川和尚の火中の遺偈から。
人は生涯を通じて、多くの困難や苦痛に直面します。その中で、真に重要なことは、外部の状況ではなく、内なる心の状態です。伝えられる名言に、「心頭を滅却すれば火もまた涼し」という言葉があります。この言葉は、困難な状況に置かれたとしても、心の持ちよう一つでその苦難を克服することができるという教えを示しています。
この教えの根底には、内面的な精神の力に対する深い信頼があります。かの和尚が放火による苦しみを前にしても冷静さを保ち、むしろ静かさを見いだしたことが示されており、これによって一大困難も自身の心の制御次第で乗り越えられることを示唆しています。炎が全てを消し去る状況にあっても、その心理的な態勢により動じることなく過ごせるという姿勢は、真の悟りに至る道を照らすものと言えます。
困難に直面した時、外部の環境に左右されず、自らの内なる心を見つめ直すことが求められます。それは、心の底から湧き出る静けさや冷静さを養うことに他なりません。これはただ待つことではなく、持続的な鍛錬と自己洞察が携わります。自らの心の働きを見つめ、自在に操れる境地に至るためには、日々の修行が欠かせません。
したがって、外部の困難にどう向き合うかは、心の中の準備と態度にかかっています。その心構えが整えば、どのような災難も和らげることができるでしょう。和尚の教えが示す通り、心を清浄し、怒りや不安を超越することで、私たちは外界の逆境を超える力を得られるのです。
この精神的な強さと静けさを持つことが、私たちの生涯にわたる困難を和らげるための鍵となるでしょう。心の鍛錬を日々大切にすることで、大地のごとく揺るがぬ心を持つことができるのです。