鉄から生じた垢が、それから生じて、まさしくそれを喰い尽くすが如く、自らの諸々の業が罪を犯した者を悪趣へと導く
鉄から生じた垢が、それから生じて、まさしくそれを喰い尽くすが如く、自らの諸々の業が罪を犯した者を悪趣(あくしゅ)へと導く。
鉄から発生した錆が鉄自身を腐食させて行くように、人間も自分の悪行によって自分自身が苦しむことになる。まさに「身から出た錆」ということ。日々の行いに心がけ、将来に向けて善(よ)いことを積み重ねることが大切である。
『法句経』
『法句経』は『ダンマパダ=真理のことば』ともいい、お釈迦さま自身の言葉を伝える原始仏典の一つ。423の詩が26章にわけて収録されている。
鉄が錆びつく様は、自然の摂理を示す象徴的な現象です。この錆は、鉄本来の特性が時間と共に変化し、ついにはその存在を侵食してしまいます。このように、人間もまた、自らの行いによって未来の自分を形作っています。特に、悪い行いは自らを苦しめる結果を招くことを忘れてはなりません。
この教えは、日々の生活の中で私たちがどのように振る舞うべきかを考えさせます。個々の行動は、内面的な成長に直結しており、善い行いを重ねることは、自己を磨くことに他なりません。すなわち、行動の積み重ねは、未来の幸福や平安をもたらす要因となるのです。
また、心がけをもって一日を過ごすことが、周囲との調和や平穏を生む基になります。周囲に対して優しさや思いやりの気持ちを持つことで、自らの存在を照らし出す光となり、善い因果を育むことに繋がります。
このことから、『法句経』の教えは、私たちが真理を理解し、それに基づいて生きるための指針となります。行動の重要性を示したこの経典は、お釈迦さまの力強いメッセージを通じて、日々の選択が未来の自分をいかに形作るのかを理解させてくれます。
したがって、自己の行動に責任を持ち、より良い人生を築くための努力を怠らないことが、最終的には幸せな人生を引き寄せる結果となるのです。心の中に善き種を蒔き、愛と慈悲に満ちた行いを続けていくことが、真の解脱への道を開くことを教えてくれています。