しるべし、愛語は愛心よりおこる。愛心は慈心を種子とせり

道元禅師(曹洞宗開祖。1200-1253)

原文

しるべし、愛語は愛心よりおこる。愛心は慈心を種子(しゅうじ)とせり。

意訳

人を愛する言葉は、愛の心から起こる。愛の心は慈しみの心を種子として起こる。愛の言葉は、天を動かすほどの力のあることを知るべきである。

出典

『正法眼蔵』

解説

道元禅師が、1231年から示寂する1253年まで生涯をかけて著した95巻に及ぶ大著。道元禅師が弟子たちに日々の修行における心構えや仏法の真髄を説示したもので、哲学や文学の分野でも高く評価されている。

妙機禅師

愛の言葉は、人々の心に温もりをもたらす力を秘めています。このような言葉は、深い愛情の源泉から生まれるものであり、その根底には慈しみの心があります。慈しみの心は、他者を思いやる気持ちや共感の情が育む種子です。この種子が成長することで、愛の言葉が実を結び、我々の言動が他者に対してどれほど大きな影響を与えるかを示しています。

愛の言葉には、目に見えない力が宿っています。それは、まるで自然の法則のように、無意識のうちに他者に寄り添う道を開くかのようです。私たち一人ひとりが心に持つ愛情の視点を大切にし、その思いを言葉にすることによって、周りの環境や人間関係が変わる可能性を秘めています。実際、愛の力は、時に人々の運命をも変えるほどの影響を持つのです。

道元禅師は、愛情を基にした心のあり方が、修行における重要な姿勢であることを教えています。修行者は、まず自らの心を智恵と慈愛で満たすことが求められます。その心から発せられる言葉や行動が、まるで清らかな水の流れのように、周囲に影響を与え、浄化することができるのです。

したがって、私たちの心が愛に満ちているとき、その言葉は響き渡り、他者の心にも届くことでしょう。愛情豊かな言葉は、ただの表現にとどまらず、深い理解や癒しを食させ、共に生きる道を照らす光となります。このように、愛と慈しみに基づく思いを大切にし、日々の修行の中でそれを実践していくことが、私たちの成長と幸福へとつながる道となります。

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