この一日の身命は、とうとぶべき身命なり、とうとぶべき形骸なり

道元禅師(曹洞宗開祖。1200-1253)

原文

この一日の身命(しんめい)は、とうとぶべき身命(しんめい)なり、とうとぶべき形骸(けいがい)なり。

意訳

今日、ただ今、ここに生きている命は、何よりも尊く、この体はこの世に一つしかない、かけがえのない尊い存在である。

出典

『正法眼蔵』

解説

道元禅師が、1231年から示寂する1253年まで生涯をかけて著した95巻に及ぶ大著。道元禅師が弟子たちに日々の修行における心構えや仏法の真髄を説示したもので、哲学や文学の分野でも高く評価されている。

妙機禅師

毎日、私たちが目覚め、呼吸をし、心拍を感じることは、宇宙の中でただ一つの奇跡であると考えてみてください。この瞬間、ここに存在していることは、最高の贈り物です。私たちの身体は、他の誰とも同じではなく、唯一無二の存在です。その身体があるからこそ、私たちはこの世界を体験し、他者と触れ合い、そして学び合うことができるのです。

道元禅師が示した教えは、私たちにこの命の尊さを忘れないように促しています。一つの命は、決して無駄にできるものではなく、途方もない貴重さを秘めています。日々の暮らしの中で、その命を大切にし、心を込めて生きることが求められています。私たちの存在がどれほどかけがえのないものであるかを理解することは、修行の根本であり、真の姿を見つけるための道でもあります。

この瞬間を大切にすることが、修行そのものであり、私たちが仏法を学ぶ目的でもあります。今日という一日が、私たちにとって新しい経験をもたらすものであり、その一瞬一瞬が私たちの内面を育んでくれます。仏教は、私たちがいかにこの人生を愛し、感謝し、理解を深めるかを教えてくれます。

身体と心を一体にし、この尊い一日の歩みを重ねることで、私たちは自らの命に向き合い、この世界の一部であることを実感します。すると、他者との関係がより深まり、共に生きる喜びに気づくことでしょう。それこそが、道元禅師が教えた生き方であり、私たちが日常の中で実践すべきことなのです。心を開き、この瞬間を生きることこそが、最も尊い修行の一環であるといえるでしょう。

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