自ら光り輝いてこそ周りを照らすことができる
横田南嶺(円覚寺管長)
自ら光り輝いてこそ周りを照らすことができる
自ら光り輝いてこそ周りを照らすことができる。この言葉には深い真理が含まれています。仏教の教えによれば、我々は皆、自らの内に無限の光、仏性を持っています。しかし、その光が曇りに覆われることにより、自分自身もそして他者も照らすことができません。この曇りを取り除くためには、自己修養と内観が必要です。
まず、自己修養とは、自分の行為、言葉、思考を正すことです。これが戒律の実践であり、正しい行いを続けることで心が清らかになり、内なる光が次第に現れてきます。また、瞑想や慈悲の実践を通じて自己を深く見つめることも大切です。瞑想は心の静寂をもたらし、自己の本質、すなわち仏性に触れる手助けをします。
一方、内観は己の心の動きや感情を観察することであり、これは智慧を育む方法です。自らの迷いや執着に気づき、それらを手放すことで心の曇りが晴れ、光がますます強くなります。智慧は他者への理解と慈悲を深めることに繋がり、結果として我々の行動一つ一つが周りの人々に光をもたらします。
それゆえ、自ら光り輝くとは、他者に対する真の慈悲と智慧を持ち、行動することを意味します。我々が己自身を照らし、内なる光を育むことによって初めて、他の人々にもその光を分け与えることができます。仏教の理想である菩薩の道もまた、この自主的な光の道であり、自己と他者の救済が一体となって進むべき方向を示しています。
己の内なる光を磨き続け、この輝きをもって周囲を照らし、共に仏性に目覚める道を歩んで参りましょう。これこそが、真の幸福への道であり、安らぎの境地への道程です。