第一に、自己こそを適切なところで確たるものとするように。然して、他者を教示するように。賢者は、汚されないもの

原文

第一に、自己こそを適切なところで確たるものとするように。然(しか)して、他者を教示するように。賢者は、汚されないもの。

意訳

先ず自分を正しく整えた上で、他の人に物事を教えなさい。そうすれば、懸命な人は余計なことに煩わされて悩むことはない。伝教大師の「能(よ)く行い能く言う」というお言葉にもあるように、教えるよりも実践が先。人の模範となれるよう、人格形成に努めよう。

出典

『法句経』

解説

『法句経』は『ダンマパダ=真理のことば』ともいい、お釈迦さま自身の言葉を伝える原始仏典の一つ。423の詩が26章にわけて収録されている。

妙機禅師

まず第一歩として、自己の心と行いを正し、自らを整えることが肝要である。その上でしか他人に教え導くことは真に有益ではない。これこそが賢者の道であり、余計な煩悩や悩みに心を乱されることなく、汚れを持たずに安らかに生きる秘訣である。

日常の中で人々を導く立場にある者は、自身の行動と心の在り方をしっかりと見つめ直さなければならない。伝教大師の言もそうであったように、言葉よりも行ないが先に立つべきである。実践を通じて、他者が自然とその姿を見て学ぶような存在であるべきなのだ。

『法句経』という古典的な教典は、この教えを特に強調している。この教典の中には、ブッダの言葉として伝わる詩が多くあり、それぞれが日々の生き方や心の持ち方についての指針を示している。これらの詩は、ブッダ自身が弟子たちに語ったものであるとされ、その真理は時を超えて今もなお多くの人々の心に響く。

この教えの根幹にあるのは、自分自身がしっかりと整っていなければ、他人を正しく導くことはできないということである。このため、自己修行と人々への教導は一体のものであり、切り離して考えることはできない。自己を鍛え、心の清浄を保つことで、初めて他者の助けとなり得るのだ。

この教えに従い、私たちは日々の生活の中で自己を磨き、隣人や仲間たちに真の善を示すことができる。これが個々の成長につながり、結果的には社会全体の調和を実現する道である。一度この道を歩み始めたならば、静かに、しかし確実に、その恩恵は広がり続けることであろう。

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