一切の悪をなさず、善を成就す。これは、覚者たちの教えである
一切の悪をなさず、善を成就す。これは、覚者たちの教えである。
すべて悪い行いはせず、善(よ)い行いを心がけ、自己の心を浄めることが仏教であり、最も基本的な人間の生き方である。「悪」とは、故意のものとは限らない。生きて行く上で仕方ないものも沢山ある。だからこそ、感謝や反省が大切であり、それが「心を浄める」ことになるのではないだろうか。
『法句経』
『法句経』は『ダンマパダ=真理のことば』ともいい、お釈迦さま自身の言葉を伝える原始仏典の一つ。423の詩が26章にわけて収録されている。
悪事から身を引き、善行を積むことが肝要とされるのは、多くの学びを経た人々の指導によるものである。これはただ表面的な行為の問題に留まらない。日々の全ての行いにおいて、悪意や否定的な感情に支配されることを避け、常に善意に基づいた行動を心がけることが、人としての道であり、仏の教えそのものであると説かれている。
「悪」といっても、人が故意に行うものばかりではなく、時には知らずに他者を傷つけてしまうこともある。それを理解することで、日々の生活において感謝の念を持つことや、自らの行動を振り返り、内省することが重要となる。それによって、心の浄化が行われ、より良い生き方が築かれるのである。
これは『法句経』、『ダンマパダ』とも呼ばれる、お釈迦様の直言を集めた古代の経典にも見られる教えである。26章に渡る423の詩句によって、人々の生き方や心の持ちようが説かれ、それによって多くの人々が悟りに至る道を見出してきたのだ。こうした教えは、現代に生きる我々にとっても変わらず価値があり、心の平安をもたらす指針として機能しているのである。この深遠なる教えを日々の生活に取り入れ、心を浄め、他者との愛と共感に満ちた関係を築くことこそ、真の人としての在り方である。